2. カビは防げる!フミン酸・柑橘類抽出物によるカビ発生抑制の研究と実用例
カビの発生は、見た目や臭いの問題だけでなく、アレルギーや呼吸器疾患など、健康被害を引き起こすリスクも含んでいます。特に高湿度な日本の環境では、住宅や施設内のカビ対策は非常に重要です。従来は強力な化学薬剤が使用されてきましたが、それに代わる安全性の高い天然成分として注目されているのが、「フミン酸」と「柑橘類由来抽出物(グレープフルーツ種子エキスなど)」です。
フミン酸は、土壌中の腐植質から抽出される天然有機酸であり、高い抗菌・抗カビ作用を有することが知られています。これは、フミン酸が微生物の細胞膜に影響を与え、増殖を阻害する性質を持つためです。2022年の農学研究では、フミン酸を繰り返し散布することで、農作物の表面におけるカビの発生が顕著に減少したというデータもあり、その有効性が実証されています。
また、グレープフルーツなどの柑橘類に含まれる成分には、抗酸化作用や抗菌特性があることが多くの研究で確認されています。特にグレープフルーツ種子エキスは、真菌や細菌に対して広範な抗菌スペクトルを持ち、自然由来ながらも高い効果を発揮します。ある住宅環境実験では、柑橘抽出物を使用したスプレーを湿度85%の部屋で使用したところ、14日間にわたってカビの発生を抑制できたという報告もあります。
これらの研究成果をもとに、住宅、介護施設、浴室、洗濯槽、エアコン内部など、湿気がこもりやすくカビが発生しやすい場所での応用が進められています。フミン酸と柑橘由来成分を組み合わせることで、相乗的な抗菌・防カビ効果が期待されており、人体やペットへの影響が少ない「安全なカビ対策」として、今後の実用化が期待されています。